教員紹介

矢萩 邦彦

(Yahagi Kunihiko)

職名 客員教授
担当科目

実践リベラルアーツ論


メッセージ

現在、世界は新型コロナウィルスによる激変のただ中にあります。予測不可能な情勢下で緊急事態に対応するため、あらゆる現場で働き方や学び方のシフトがはじまりました。その結果、うまくいっている人と苦戦している人が明確に分かれてきました。みなさんは、どちらでしょうか?

変化に適応することは、簡単ではありません。予測できない状況や、新しい環境・価値観や視点を受け入れることは時にストレスになります。しかし、よくよく考えてみると、私たちは昔から完全に未来を予測できたことなんてなかったはずです。いつ何が起こってもおかしくないと認識していながらも油断してしまい、そして、震災も不景気もコロナ禍も起こりました。そんななかで、自由に生きていくためには、何を学び、何を経験し、どんな能力を身につければいいのでしょうか?

リベラルアーツは「一般教養」と訳されることが多いのですが、それゆえにつかみどころがなく、幅広い知識を持っていることという印象を持たれている方が多いと思います。また、リベラルアーツを辞書で引くと、「職業に直接関係のない学問や芸術のこと」「実用的な目的から離れた純粋な教養のこと」、あるいは「中世ヨーロッパの自由人にふさわしい教養とされた文法、修辞学、弁証法、算術、幾何、音楽、天文学のこと」などと説明されています。どれをとってもすぐに役に立つ知識でもなければ、すぐ使えるハウツーやテクニックでもなさそうです。しかし、本当にそうでしょうか。もしそんなに学ぶ意味も実用性も曖昧なら、なぜ現代まで残り、高等教育においてその重要性が認められ続けているのでしょうか。

この講義名である「実践リベラルアーツ」は、一見すると矛盾しているように感じるかも知れません。しかし、あらゆる知識を日常生活や専門分野での実践に活かすための方法の獲得こそが、リベラルアーツの本質です。

「教育とは、学校で学んだことを一切忘れてしまった後に、なお残っているものだ」

これはアインシュタインの言葉です。何を考えたかではなく、どのように考えたかが、最も記憶に残り、人生と社会をより豊かにするために活用できるのだと解釈できます。今この時代を自由で豊かに生きていくために基盤となる知識と思考スキル、生活と実践に直結する現代のリベラルアーツを、みなさんと一緒に再構築し、リ・デザインしていければと思っています。

プロフィール

1995年より教育・アート・ジャーナリズムの現場でパラレルキャリア×プレイングマネージャとしてのキャリアを積み、1つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を探究するアルスコンビネーター。2万人を超える直接指導経験と多様な企業へのコンサルティング経験を活かし「すべての学習に教養と哲学を」をコンセプトに学校・民間を問わず多様な現場で授業・講演・研修・監修顧問などを展開、企業や学校と連携し、これからの時代を豊かに生きるための「リベラルアーツ」と「日常と非日常の再編集」をテーマに住まい・学校職場環境・サードプレイス・旅のトータルデザインに取り組んでいる。