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過去のプログラム
開催日:2016/4/5(火)会場:コクヨホール
イヴ・ピニュール教授 講演
「ビジネスモデル・キャンバスによって、世界のイノベーションはどう変わったか?」
2016年4月5日コクヨホールにて、ビジネスモデル・キャンバスの共同開発者で世界のトップ経営思想家の一人に選ばれたイヴ・ピニュール教授の講演が行われた。
「コダック・モーメント(コダックの悲劇)」をどうやって回避すればいいのか?
「コダックは、多くの優れた商品を開発しました。デジタルカメラを先駆けて開発したのもコダックです。しかし、商品イノベーションに偏ってしまい、新しいビジネスモデルを作ることができずに、ついには倒産してしまいました。つまり、これからのイノベーションにおいては、ビジネスモデルに対する投資が重要であり、これまでの伝統的なR&D投資だけではもはや不十分なのです。」
「傑出したバリュー・プロポジション(価値提案)は、顧客への深い理解から始まります。」
ビジネスモデル・キャンバスとセットで使われるバリュー・プロポジションをデザインするツール、バリュー・プロポジション・キャンバスを使い、テスラのビジネスモデルが解説された。基幹部品のパワートレインを外販するなどB to B、B to Cで収益を上げ、ビジネスモデルが3段階にわたって進化している。ビジネスモデル・キャンバスが会場に配られ、テスラのビジネスモデルについて会場とのインタラクティブ・セッションも行われた。
欧米における組織的なイノベーション・トレーニング事例の紹介
欧米の先進企業では、組織の共通言語としてビジネスモデル・キャンバスのトレーニングが行われている。マスターカードでは、1000人以上の規模でトレーニングが進んでいるという。導入企業の調査をもとに、イノベーション、M&A、競合分析、顧客理解など、実際に企業で行われているビジネスモデル・キャンバスの14種類の使い方が紹介された。
欧米企業の最新事例を交えたイヴ・ピニュールさんの活気のある講義に、来場者は大いに刺激を受けたようだった。
品川塾とイヴ・ピニュール教授について
多摩大学大学院の紺野登教授の講演では、イノベーションが都市を中心に起こっている世界的な現象が紹介された。企業や人々が集まる魅力的でダイナミックな都市を中心に、企業、大学、研究機関などが連携するイノベーション・エコシステムを形成することがカギと指摘する。
先端的な企業が多数集まり、JR東日本の大規模再開発など東京の中でも特にダイナミックに発展する品川は、日本の新しいイノベーション・エコシステムの役割が期待されている。イノベーションを誘発する触媒としての品川塾の意義が、まさにここにある。
多摩大学大学院におけるイノベーションの実践的教育
多摩大学大学院の河野龍太教授の講演では、ビジネスモデル・イノベーションの経営戦略における重要性、多摩大学大学院でのビジネスリーダー教育での取り組みが紹介された。KPMGが先頃公表したグローバルCEO調査によれば、今後3年間で変革されるテーマの2位にビジネスモデルがあげられた。世界の経営トップは、ビジネスモデルの改革へ注力する方向性が明確な中で、日本の経営者は世界のCEOよりも意識の遅れが目立つという。また、多摩大学大学院(ビジネススクール)では、「イノベーターシップ」のプログラム・コンセプトのもと、ビジネスモデルの変革を推進できる次世代の経営リーダーの育成が行われている。その実例が紹介された。
日本企業のイノベーションとビジネスモデル・キャンバスの進展
イヴ・ピニュール氏(ローザンヌ大学教授)、吉川健二氏(株式会社ニコン執行役員)、長尾吉祐氏(リクルートメディカルキャリア代表取締役/多摩大学大学院修了生)、小山龍介氏(ビジネスモデル・イノベーション協会代表理事)、紺野登氏(多摩大学大学院教授)、河野龍太氏(多摩大学大学院教授)らによるパネルディスカッションでは、ニコンの吉川氏より、M&Aや新事業開発などイノベーション経営の取り組みにビジネスモデル・キャンバスを活用している同社の事例が、またリクルート・メディカルキャリアの長尾氏からは、ビジネスモデル・キャンバスを活用したリクルート社の幹部研修の事例がシェアされた。その後イヴ・ピニュール教授も交えて、ビジネスモデル・キャンバスを組織的に浸透させイノベーションを誘発する取り組みについて会場の質問も受けながら活発なディスカッションが行われた。
講演会の様子(動画)
講演者プロフィール
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イヴ・ピニュール 氏(Dr. Yves Pigneur)
スイス・ローザンヌ大学教授/多摩大学大学院グローバルフェロー。
ビジネスモデル・イノベーションの世界的権威。21世紀の戦略とイノベーションに革命的な影響を与えているツール「ビジネスモデル・キャンバス」をアレックス・オスターワルダー氏と共に開発。
アレックス氏との共著『ビジネスモデル・ジェネレーション』(翔泳社刊)は、世界で100万部を越えるベストセラー。
マネジメント思想界のアカデミー賞といわれる世界で最も影響力のある経営思想家ランキング「THINKERS 50」で、アレックス・オスターワルダー氏と共同で15位(2015年)、戦略部門で1位に選出(部門アワード受賞)。最新作は、魅力的な顧客価値を作る指南書「バリュー・プロポジション・デザイン」(翔泳社)。
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イヴ・ピニュール教授 講演
ビジネスモデル・キャンバスによって、世界のイノベーションはどう変わったか?
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