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多摩大学大学院

品川塾

開催日:2016/9/29(木)会場:多摩大学大学院 品川サテライト

羽山 信宏 氏 講演

「世界一を目指すプロジェクトの『目的工学』

〜スカイエンジン開発プロジェクト〜」

2016年9月29日、多摩大学大学院 品川サテライトにて、「つくりたいんは世界一のエンジンじゃろぅが!」著者であるISIDエンジニアリング羽山信宏氏の講演が行われた。

 

多摩大学大学院の紺野教授よりまず初めに、目的を媒体にして、組織を起こしてイノベーションを起こすのに、目的工学の必要性が述べられた。

現代は目的がなかったり、目的と手段がアンマッチする傾向がある一方、目的がうまく連動しているプロジェクトはうまくいっている。そして「マツダスカイアクティブ」のエッセンスはまさに「目的工学」だとの紹介で幕が切られた。

 

講師は、その発想の巧みさと優秀さで世界的に注目されているマツダの画期的エンジン、SKYACTIVE Technology開発のキーパーソン、羽山信宏氏。

羽山氏からは、「本日はエンジンの話をするつもりはありません、考え方をお話します」と一般の方に向けて、配慮された話の口火が切られた。

『技術屋』

羽山氏は広島大学時代に、友人から借りて乗ってみたマツダ車が、小さいのに高馬力、走りもすごいのに、一方、エンストしたりすることに面白さを感じ、ロータリーエンジン開発が絶対やりたいという思いでマツダに入社。

そして、ロータリーエンジン開発に19年間、マツダに40年間関わってきた。現在はモノづくりの技術開発に対する恩返し、日本のモノづくりを立て直すお手伝いをすること。

技術屋になろうと思った理由としては、技術は世界が幸せになるのに必要なものだが、技術により生み出したものによっては、地球のサイクルに戻せない、自然にとっては分解できないものもある。地球の輪廻の中に戻す技術や地球環境について若いころから考えていた。

『スカイエンジンができた背景』

スカイエンジン開発はフォードの傘下だった2006年から始まった。2010年から10年間戦えるエンジンを作るのが当時の目標であった。当時の開発はベンチマークベースの開発で、燃費などの性能を改善することで他社に勝つことが目標とされていた。つまり性能改善が目標だった。

それでは、一瞬は世界一になるかもしれないが、次の瞬間にはまた新たな目標を各社が掲げ、競争するため、この考え方ではいつまでたっても「世界一」になれない。誰に対しても世界一と納得してもらえない。ましてや、マツダと異なりターボエンジンを同時に開発していたフォードに対しては猶更だ。フォード傘下での開発という危機感の中、この目標設定ではダメだと気づいた。

 

『世界一の目標値』

「もう一度原点に戻ろう」。燃費などで代表される「性能」目標ではなく、「機能」目標で考えてみると、エンジンでの燃焼はガソリンと空気を用いて、化学エネルギーを熱エネルギーに変えて、そして運動エネルギーに変えることである。エネルギー変換効率、つまり熱効率を目標にして、熱効率世界一を目指せば誰が見ても世界一と認められると気づく。車両の重量などにより性能は変わるので、燃費では良いエンジンとは言えない。それに対して、熱効率なら世界一といえる。

この目標設定が羽山氏の説く機能開発であり、目的工学に通ずるとこである。

いわゆる「良い目標設定」だと感じた。

『世界一のサクセスシナリオ』

まずは世界一を定義できるか。世界一を見つけ、誰が見てもわかる目標設定をする。

そして、ありたい姿と現状とのギャップをだして、全体俯瞰する。そして構造化する。

熱効率の中身を知ること、これがカラクリを解くこと。解けば全体の貢献度がわかり、ありたい姿と現状のギャップを定量化できる。これを共有するのが大切である。

当時、マツダでは熱効率40%ができるシナリオができるまで、試作はさせなかったとのこと。ダメだったら会社が存続できないという危機感と強い意志を感じた。

 

『組織が変わる』

人に関しては

①モチベーションは与えられるものではない。自分の中から湧いてくるもの。すなわち皆が納得する目標があって、人のエネルギーを集められる。

②ただ単に石を運ぶのか、城や石垣を作るために石を運ぶかの意識の違いが大きな差となる。

③指示しないこと。羽山氏が強調されていたのは、「状況が人を動かす」。状況の共有化(ありのままに伝える)がスカイの成功に繋がったと。

 

来場者からは多くの質問がなされ、自分の今抱えている課題の相談や、他部門との連携、モノの性能間の排反に対しての質問、工数低減効果など多岐にわたり、羽山氏はそれらの質問に対して丁寧に時間をかけてお答えしていた。

結局、予定時間を超えるほどであった。

全体を通して、「マツダスカイエンジン開発」の実例をお聞きすることで、成功プロジェクトマネジメントの根底にある考え方を学ぶことができた。

講演者プロフィール

羽山 信宏(はやま のぶひろ)氏

広島大学卒業後、1974年に東洋工業株式会社(現マツダ株式会社)に入社。パワートレイン実研部長、同開発センター長を経て、2002年執行役員パワートレイン開発本部長に就任。2009年には取締役執行役員専務。2010年に退任するまで、 ほぼ一貫してパワートレインの開発に携わる。マツダ独自のロータリーエンジンについても非常に造詣が深い。2014年7月に、機能で考える開発を日本に広めるため、ISIDエンジニアリング特別顧問に就任。

主著「つくりたいんは世界一のエンジンじゃろぅが!」(B&Tブックス)

 

2000(平成12)年 10月 マツダ株式会社 パワートレイン開発本部長

2002(平成14)年 6月  マツダ株式会社 執行役員 パワートレイン開発本部長

2004(平成16)年 6月  マツダ株式会社 常務執行役員

2009(平成21)年 6月  マツダ株式会社 取締役専務執行役員

2010(平成22)年 6月  退任

2014(平成26)年 7月  株式会社ISIDエンジニアリング 特別顧問 就任

 

 

 

 

 

 

 

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羽山 信宏(はやま のぶひろ)氏

広島大学卒業後、1974年に東洋工業株式会社(現マツダ株式会社)に入社。パワートレイン実研部長、同開発センター長を経て、2002年執行役員パワートレイン開発本部長に就任。2009年には取締役執行役員専務。2010年に退任するまで、 ほぼ一貫してパワートレインの開発に携わる。マツダ独自のロータリーエンジンについても非常に造詣が深い。2014年7月に、機能で考える開発を日本に広めるため、ISIDエンジニアリング特別顧問に就任。

主著「つくりたいんは世界一のエンジンじゃろぅが!」(B&Tブックス)

 

2000(平成12)年 10月

 マツダ株式会社 パワートレイン開発本部長

2002(平成14)年 6月

 マツダ株式会社 執行役員 パワートレイン開発本部長

2004(平成16)年 6月

 マツダ株式会社 常務執行役員

2009(平成21)年 6月

 マツダ株式会社 取締役専務執行役員

2010(平成22)年 6月

 退任

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