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カルチャーベースマネジメント 第6講(徳岡晃一郎教授)2019年度 秋学期

授業の様子

カルチャーベースマネジメント 第6講(徳岡晃一郎教授)2019年度 秋学期

2019年12月6日

授業の様子

第6講は、マイクロソフト(以下、「MS」)から特別ゲストを招き、サティヤ・ナデラ就任後の同社のカルチャー・トランスフォーメーションについて学ぶ場となった。マイクロソフトは1975年に創業したIT系では老舗企業で、途中危機に直面しながらも、1999年からの30年間、常に世界の株式時価総額トップ10に入り続けている唯一の企業である。

カルチャー・トランスフォーメーションは昨年来、私の主テーマの一つでもあったため、自身の経験と照らし合わせながら、非常に興味深くお話をお伺いすることができた。以下、講義の要約と所感を述べたい。

2014年、ナデラが就任してトップアジェンダにおいたのが、カルチャー・トランスフォーメーションであった。そしてまず行ったことは、理念体系の再定義であった。創業当時ビル・ゲイツが掲げた「世界中の家庭にPCを」は既に現実のものとなり、イノベーションのジレンマに陥りかけていた同社に「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というミッションと「Growth mindset(成長のマインドセット)」というカルチャー定義を与えた。Growth mindsetとは、「人は学習し、ミスを認め、チャレンジし、フィードバックを受け、内省することで成長し続けることができる」という信念であり、これがMSのカルチャー・トランスフォーメーションの軸となっている。

Growth mindsetの浸透のため、MSでは、カルチャーチェンジ・モデルとして4つの柱を掲げている。それが「Behaviors(振る舞い)」「Systems(システム)」「Symbols(シンボル)」「Storytelling(ストーリーテリング)」である。本講義では、これら4つの柱それぞれに対して詳細な解説を頂いたが、ここではその中でも私の中で心に残った内容について抜粋して記載する。

1. ダイバーシティの重要性を解くとともに、それと対になる「インクルージョン」を強調して掲げ、徹底している。
ダイバーシティの高まりはともすると強い軋轢を産む。そのため、それを緩和するインクルージョンに同等の価値を置くことで、その軋轢を緩和させている。これは非常に重要なポイントであると考える。インクルージョンには推奨される10の振る舞いがあり、そこには「全員の声を聞いたか確認しよう」「自身が持っている仮説(色眼鏡)を検証しよう」「もし誰かに強い反応を示してしまう自分がいたら、自分自身に「なぜ?」と問いかけよう」などが定義されている。

2. インパクトを生み出すための評価軸として「自身の成果」「他者への貢献」「自身の成果は、どれだけ他者の力やアイデアを借りて実現したか」の3つを定義している。
以前のMSの評価軸は「自身の成果」のみであったという。それによりセクショナリズムが蔓延していた。なのでそこにあえて他者軸である「貢献」を入れることで、会社として何に価値を置くかをメッセージとして伝えている。特に興味深いのが「どれだけ他者の力を借りたか」という指標で、これがあることで支援をすることだけでなく、「支援を求める」ことを積極的に行うインセンティブが働くようになる。

3. 「フィードバック」という言葉に人は抵抗感を示すことが脳科学的に立証されているため、あえて「パースペクティブ」という言葉を使う。
私の会社でも頻繁に「フィードバック」を行う機会がある(Feedback Fridayがあり、毎週金曜にフィードバックを求めることを推奨している)が、確かにフィードバックには「批判される」というニュアンスが伴うため、活用は限定的だ。早速自社内でも来週から活用していこうと思う。

4. 毎月、ナデラのAMA(Ask Me Anything)という公開Q&A(全てアドリブ)があり、透明性を高めている。
実は私に会社にもAMAはあるが、驚きなのは「毎月」という頻度と、1万人がリアルタイム参加しているというその規模だ。また、時にはナデラが答えに窮し、翌日に反省とともにアクションプランが提示されることもあったという。AMA以外にも似たような事例として、シニアVPが5,000人の社員の前で公開コーチングを受け、答えに窮して「最近のテクノロジーについていけない」という悩みを吐露し拍手喝采を浴びた話も出た。この透明性の高さと、トップ自ら「弱さを曝け出す」ようなオープンな対話は、組織全体の安全性を高める極めて有効な手法であると考える。

授業の最後に徳岡先生から以下4点のコメントを頂き、授業を終えた。
・「言葉」が大切。MSはそれがうまい。
・人への思いが重要。中心となっているのは「人の成長を喜ぶ」こと。これがないとカルチャーは浸透していかない。「人が財産」とよく言うが、その前提として「人間力」が必要。
・ナデラのリーダーシップと共感を集める力は特筆すべき。
・ナデラ著の「ヒット・リフレッシュ」はぜひおすすめ。

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